化学療法(抗がん剤治療)の副作用

起こり得ることと対処法

化学療法(「抗がん剤治療」)は、がん細胞を死滅させる有効な治療法ですが、体内の増殖の速い健康な細胞にも影響することがあります。そのため、副作用が起こる場合があります。副作用の出方は人それぞれです。使用する抗がん剤の種類、投与量、治療スケジュール、全身の健康状態によって体験は異なります。

多くの副作用は一時的で、薬剤や支持療法により治療または軽減できます。

よくある化学療法の副作用

倦怠感

倦怠感は、化学療法で最もよく見られる副作用の一つです。多くの患者さんは、休息だけでは改善しない強い疲労感として表現します。

倦怠感を和らげるためのポイント:

  • 無理をせず、必要に応じて休む
  • 軽い日常的な運動(短い散歩など)が役立つことがあります
  • 水分を十分に取り、栄養のある少量の食事を摂る
  • 鉄分の値や血球数の確認について医師に相談する

吐き気・嘔吐

一部の抗がん剤は吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。治療後、数時間以内に起こる場合もあれば、数日後に起こる場合もあります。

重要:吐き気止め(制吐薬)は非常に効果的で、早めに服用するほど効果が高まります。

役立つ対策:

  • 処方された吐き気止めを指示どおり正確に服用する
  • 少量をこまめに食べる
  • 刺激の少ない食べ物(ご飯、トースト、スープ)を選ぶ
  • 脂っこいものや匂いの強い食べ物を避ける

食欲低下・味覚の変化

抗がん剤治療により、味覚や嗅覚に影響が出ることがあります。食べ物が金属のように感じたり、苦く感じたり、いつもと違うと感じたりし、食欲が低下することもあります。

役立つこと:

  • プロテインドリンクやスムージーを試す
  • 金属味がする場合はプラスチック製の食器を使う
  • マイルドな味付けや柔らかい食事を試す
  • 一度にたくさん食べるより、少量を回数多く摂る

脱毛・毛量の減少

一部の化学療法では脱毛や毛量の減少が起こり、通常は初回治療から2~3週間後に始まります。

知っておくとよいこと:

  • 髪は通常、化学療法終了後に生えてきます
  • 生え始めは見た目や手触りが以前と異なることがあります

血球数の低下

化学療法により、血液細胞を作る体の働きが一時的に低下することがあります。減少する細胞の種類によって、さまざまな副作用が起こり得ます。

  • 白血球の低下(好中球減少): 感染症のリスク増加
  • 赤血球の低下(貧血): 脱力感、倦怠感、息切れ
  • 血小板の低下(血小板減少): あざができやすい、出血しやすい

感染症リスクの増加

抗がん剤治療で白血球が低下すると、感染症が短時間で重症化することがあります。

次の症状がある場合は、すぐに医師に連絡してください:

  • 発熱
  • 悪寒
  • 喉の痛み
  • 排尿時の痛み・灼熱感
  • ポートまたは点滴部位周辺の赤み/腫れ

口内炎(粘膜炎)

抗がん剤治療により、口や喉に痛みを伴う刺激や炎症が起こり、口内炎ができることがあります。

セルフケアのポイント:

  • 推奨された刺激の少ないうがい薬を使用する
  • 柔らかい食べ物(ヨーグルト、おかゆ、スープ)を選ぶ
  • 辛いもの、酸味の強いもの、硬い・ざらつく食べ物を避ける
  • 必要に応じて処方のうがい薬について医師に相談する

下痢・便秘

一部の抗がん剤は下痢を引き起こすことがあります。一方で、吐き気止めや鎮痛薬などの薬剤が便秘の原因になることもあります。

受診の目安:

  • 重度の下痢は脱水を引き起こすため、医療的な対応が必要です
  • 数日続く便秘は医療者に報告してください

末梢神経障害(神経痛・しびれ)

一部の抗がん剤は神経を刺激し、次のような症状を引き起こすことがあります:

  • 手指や足趾のピリピリ感・しびれ
  • 灼けるような痛み
  • 筋力低下やバランスが取りにくい
  • 細かい動作が難しい(ボタン留め、書字など)

重要:症状は早めに報告してください。投与量の調整により、長期に残る神経障害を防げる場合があります。

皮膚・爪の変化

抗がん剤治療により、次のような変化が起こることがあります:

  • 皮膚の乾燥や発疹
  • 皮膚の色が濃くなる部分
  • 爪の変色、縦筋、痛み

頻度は低いものの注意が必要な化学療法の副作用

化学療法の副作用の多くは一時的で、対処可能です。しかし、頻度は低いものの重篤となり得る副作用もあり、緊急の医療対応や治療変更が必要になる場合があります。

新しい症状や悪化する症状に気づいた場合は、必ず速やかに腫瘍内科(がん治療)チームにお伝えください。

重篤な感染症(好中球減少時の感染)

化学療法により白血球(好中球)が低下すると、体が感染と闘いにくくなります。軽い感染でも短時間で危険な状態になることがあります。

次の症状がある場合は、直ちに医師に連絡してください:

  • 38°C(100.4°F)以上の発熱
  • 悪寒または震え
  • 急な喉の痛み
  • 続く咳または息切れ
  • 排尿時の灼熱感
  • 点滴/ポート部位周辺の赤み、腫れ、痛み

重要:化学療法中の発熱は、別の原因が明確になるまでは医療上の緊急事態と考えられます。

重度の脱水(嘔吐または下痢による)

嘔吐や下痢が繰り返されると、短時間で脱水や電解質異常につながることがあります。

次の場合は、至急ケアチームに連絡してください:

  • 水分を摂っても吐いてしまう
  • 嘔吐を繰り返している
  • 下痢が1日に数回以上ある
  • めまい、失神しそう、または極度の脱力がある
  • 尿の色が濃い、または尿量が非常に少ない

血栓(深部静脈血栓症または肺塞栓症)

がんと化学療法は、血栓のリスクを高めます。

次の症状がある場合は救急受診してください:

  • 片脚の急な腫れまたは痛み
  • ふくらはぎまたは太ももの赤み・熱感
  • 突然の息切れ
  • 胸の痛み(特に呼吸時)
  • 突然の動悸、または原因不明の強い不安

アレルギー反応・点滴(輸注)反応

一部の抗がん剤は、点滴中または点滴後まもなくアレルギー反応を起こすことがあります。

症状には次のようなものがあります:

  • 発疹またはじんましん
  • かゆみ
  • 顔/唇/喉の腫れ
  • 喘鳴(ゼーゼーする)または呼吸困難
  • 胸の締め付け感
  • めまいまたは失神

これらの反応は、早期に気づけば通常は速やかに治療できます。そのため、点滴中に症状が出た場合は直ちに申し出ることが重要です。

心臓への影響(心毒性)

一部の抗がん剤は心機能に影響し、まれに心筋が弱くなることがあります。

次の症状が出た場合は、すぐに医師に連絡してください:

  • 新たな息切れ(特に安静時や横になるとき)
  • 足首、足、脚のむくみ
  • 急な体重増加
  • 胸の圧迫感または痛み
  • 急速に悪化する異常な倦怠感

肺の炎症(肺臓炎)

一部の抗がん剤は、肺の刺激や炎症を引き起こすことがあります。

次の症状がある場合は直ちに報告してください:

  • 続く乾いた咳
  • 息切れ
  • 胸の不快感
  • 他に明確な原因のない発熱

重度の神経障害(神経損傷)

末梢神経障害は、早期に対処しないと時間とともに悪化することがあります。

次の症状に気づいた場合は、至急報告してください:

  • 歩行が困難、または転倒が増えた
  • 強いしびれ(床の感覚が分からない)
  • 手足の強い痛み
  • 物を持ちにくい、または衣服のボタンが留めにくい

投与量の調整により、症状が永続化するのを防げる場合があります。

腎臓または肝臓の問題

一部の抗がん剤は腎臓や肝臓に影響することがあります。

次の症状がある場合は医師に伝えてください:

  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
  • 濃い尿または白っぽい便
  • 強いかゆみ
  • 続く吐き気
  • むくみ、尿量の減少、または脇腹/背中の痛み
緊急受診の目安

次の症状がある場合は、直ちにがんセンターに連絡するか、救急受診してください:

  • 発熱(38°C(100.4°F)以上)
  • 呼吸困難
  • 胸の痛み
  • 止まらない出血
  • 強い脱力、混乱、または失神
  • 続く嘔吐または重度の下痢
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