#おもいをつなぐ 吉田えりさんインタビュー

#おもいをつなぐ 吉田えりさんインタビュー

10月は乳がん月間です。 #おもいをつなぐ をコンセプトに、RFTC Japanと関わる人々の声をお届けします。
RFTC Japanは、「日本において乳がんが命を脅かす病でなくなってほしい」という、ひとりの乳がんサバイバーであるVickieの思いから始まりました。
多くの出会いがあった17年間。 この「おもい」支えてくださる方々、 当団体を通して乳がんと向き合ってくださった方々、 私たちに賛同し、関わり続けてくださる方々に支えられ、今があります。
これからもRFTC Japanの思いは変わりません。 私たちの思いが繋がり、あなたにある思いが行動に変わるとき、 誰かの命を救うことにつながります。

#おもいをつなぐ 吉田えりさん インタビュー

PiNK 2020夏号のサバイバーストーリーを執筆してくださった吉田えりさん。
執筆後、ミセスユニバースジャパン2020 4位入賞という快挙を成し遂げました。
先日吉田さんとお会いし、お話を伺いました。

えりさん、ミセスユニバースジャパン2020 4位入賞、おめでとうございます。受賞したときの気持ちをお聞かせください。

嬉しかったというのが率直な気持ちです。世界に出てピンクリボンの活動も含めて訴えたいものがあってトップを狙う気持ちで頑張りましたので、トップを取れなかったのは自分の力不足で残念でしたけれども、入賞させていただいたことが嬉しかった。
これは私の力だけではなくて、PiNKでサバイバーストーリーを書かせていただいたこと、お話をさせていただいたこと、また今回のコロナの影響で雑誌が出せないなどの困難なことがあったこと全てが、今回のコンテストの入賞に結びついたと感じています。
残念なことはありましたけれども、困難をプラスに変えようと思って頑張った結果をいただいたのかなと思っています。とても嬉しく、みなさんに感謝です。

今回はミセスユニバースジャパン2020 4位入賞の他にも、スピーチ賞の受賞おめでとうございます。スピーチでは何についてお話されたのか、教えていただけませんか?

自分の病気のことを話しました。多くの人の前でストレートに言うというのは、なかなか勇気がいります。ただ、私の病気はパッと見てもわからないし、言わないとわかってもらえません。
一番最初に「わたしは8年前乳がんになりました。辛い治療を乗り越えて元気にはなりましたけれども、髪と胸を失ってしまいました」と、はっきり言いました。ここを主軸に、そこから自分が何をしたいのかをスピーチにさせていただきました。

ミセスユニバースジャパン2020 でご自身のストーリーをスピーチで話すことを通して、何を伝えたかったのですか?

私はバイオリニストでもあるので、難しい状況にある今の社会に音楽を通して元気を届けたいということ。自分がコンテストという場所で人前に出て輝くことによって、病気で元気をなくしたり、体も心も傷ついた女性たちに、勇気と希望を持ってもらいたいということ。このふたつをお伝えたしたいと思いました。

改めて、本当におめでとうございました。
吉田さんと知り合ったきっかけが、PiNKのサバイバーストーリーを書いていただいたことでしたね。吉田さんがサバイバーストーリーを書きたいと思った理由をぜひ教えてください。

私の場合、乳がんと悪性リンパ腫に罹患したので珍しかったんですけれど、私のような方もいらっしゃるんですよね。乳がんの検査に行ったら別の病気も見つかったとか、逆に、別の病気の検査をして乳がんも見つかったいうこともあります。
まず、書きたかった一つめの理由は、書くことを通して、乳がん検診をしてほしいこと、また乳がんに止まらず受けられる検診は受けて欲しいということを伝えたかったからです。検診をすることで、異変があれば早期発見早期治療につながります。早期発見と早期治療をすれば体への負担はより減るし、命も助かります。
また、自分がモデルやバイオリニストとして人前に立っていることを知ってもらって、病気になっても大丈夫よ!ということを伝えたいと思いました。
最後に、自分の内面のことになりますが、書くことによって過去を振り返ることが必要だと思ったからです。
闘病のことを思い出しては、どんな治療をしたのか、どんな心境だったのか、周りの環境がどう変わったかなどを記録することで、「自分はこう頑張ってきた」とか「ここはこうすればよかった」「まわりはこんなによくしてくれた」と自分と向き合う時間になりました。
しかしこれがまた非常に辛いんですよね。泣きながら書きました。ちょうど自粛期間で時間がたくさんあったので、パソコンではなく紙で原稿を書きましたが、筆がなかなか進みませんでした。紙が涙で濡れてしまうんですよね。
でも、このプロセスを通して多くのことを再確認することができたので、辛かったけれどもとてもよかった。新しい一歩をふみ出せると思えました。治療中は無我夢中で、その後も怖くて振り返ることができなかったからです。
治療後も「私は乳がん」という考えが頭の中に残っていました。「自分はかわいそう」という思いをどこかズルズル引きずってしまっていたのですが、書くことを通して、人生の全てが乳がんになってはダメだと気づかされました。
乳がんは乳がん、私の人生は私の人生、これから先もある。過去は変わらないけれども、一区切りつけたいと思いました。新しい未来に向かって生きることにフォーカスを向けたいと思えたんです。

闘病中どんな気付きがありましたか?

病気はしない方が良いけれども、私の場合は病気をしたことによって、今まで関係を持たなかった方々と知り合うことができました。また、いかに世の中に抗がん剤を打つ人が信じられないぐらいに多いかを知りました。
病室にはたくさんの方がいらっしゃいます。小さい子供も抗がん剤を打ってますし、この方もがん患者なんだ、というような一見普通のサラリーマンが仕事帰りにビジネススーツで来て打って帰っていくんですよね。治療中は、ほかの社会を垣間見ることができましたし、他の患者さんを知ることで、私だけが大変なんじゃないんだと思えました。
私はバイオリン奏者なので、まわりの人のほとんどが音楽家でした。子供がいるのでママ友とのお付き合いもありましたが、そのほかは音楽の世界しか知らなかったんです。病気をすることによって、たくさんのことを知ることができました。それによって、自分は音楽ばかりやってちゃダメなんだ、踏み出さなきゃと思ったんですよね。
新しい扉はたくさんあるから開けてみようと思い、新たな扉を開くきっかけをくれました。もし病気になっていなかったら、ずっと同じ部屋の中で過ごしていたと思います。

初めてPiNKについて知ったのはいつでしたか?ぜひ聞かせてください。

病院のブレストセンターの待合室です。大きい病院はどこでも同じだと思いますが、予約を入れても1、2時間は待ちます。待合室には雑誌のボックスがあって、その中にPiNKがありました。色もピンク色でわかりやすいし、とても魅力的に見えました。
でも最初は読まなかったんです。ファッション誌を読んだりしてなんとなく避けてました。まだ受け入れられなかったんですよね。受け入れて、よし治療を頑張ろうと思った時に、初めて手に取りました。
PiNKの表紙にはサバイバーストーリーの方の写真があって、その方のストーリーを読んだときに「この人もそうだったんだ」と思ったんですよね。でも、雑誌を持っていると、乳がんだと宣言している感じもしちゃうんですよ。だから葛藤しながら読みました。
私の場合は病状が重かったので、抗がん剤治療の期間が非常に長くて、10ヶ月打っていたんです。最初のうちはビデオを用意してゆったり観たり、好きな本を買って読んだりしていましたが、だんだん体が弱ってくるんですね。こればかりはどうしようもなくて、最後は、起き上がるのも辛かったです。
あとは、人によるとおもうんですけれど、目が弱ってしまって少し見えなくなるのが、私の場合はかなりきました。デジタルの画面を観ると光が眩しくて、目がチカチカして観られなかったんです。力もなくなるので、本や普通の雑誌も重く感じてしまって、内容も入ってこなくて読めませんでした。
PiNKって、重さがちょうど良いんですよね!重たくないでしょう?あれはとても助かりました。読む方としては、ちょうど良いんですよ。重すぎず、大きさもある程度あって読みやすいので、治療中も続けて読むことができました。
治療中はファッションできなくなりますから、ファッション誌を読むのが悲しくなるんですよ。「私は明日死ぬかもしれないのに、この人たちは元気なのよね、明日があるんだよね」といじけるときってあると思うんです。だけど、PiNKは、同じ経験をした人たちが載ってるし、サバイバーストーリーだけじゃなくて、お料理のことやいろんな記事が載ってたりするじゃないですか。それが良いんですよね。治療中は文字も頭に入ってこなくなるときがあるんですけれど、料理などの綺麗な写真などを眺めているだけでも、嬉しかったですね。

コロナの影響による財源不足で、残念ながらPiNK2020年夏号は現状オンライン版のみの発行となりました。今後もオンライン版のみを発行することについても検討している状況です。吉田さんはPiNKを冊子またはオンラインで配布することについてどう思われますか?

私はPiNKが冊子でも続けて配布されてほしいです。ひとつめの理由は、やっぱり皆さんがインターネットを使っているわけではない、というのがあります。乳がんの患者さんは、80代の方もいますし、携帯からだと見づらいという方もいらっしゃると思います。私はそう感じますね。
もうひとつはさっきも話しましたが、治療で目が弱くなって、携帯も、パソコンも、テレビも、観られなくなってしまう人がいると思うんですよね。私もそうでしたが、最後に読めたのは、雑誌でした。雑誌は字が大きいし、写真もいっぱい載っているから読みやすかった。これをオンラインだけにしてしまうと、具合が悪いときは読めないと思いました。
あとはやっぱり、病院の待合室に置いてあるというところですよね。待合室には男女共に多くの方がいらっしゃるじゃないですか。雑誌が置いてあると、誰でも手にとって読むことができるのが良いですよね。男性の方にも読んでもらいたいなと思います。だから、PiNKの雑誌を病院のブレストセンターだけではなく、他の科にも置いてもらいたいんですよ。

乳がんについて、周りの方に知ってもらいたいことは何ですか?

乳がんはほとんどの患者さんが女性の病気ですが、男性にもっと知って欲しいです。男性はご自身のパートナー、母親、姉妹が乳がんになる可能性があるからです。
今、乳がんは9人に1人が罹患する確率がありますよね。私の周りにも乳がん患者さんが非常に多いです。まず「乳がんの人って多いんだよ」ということを知ってもらいたい。彼らの周りにいる家族や知人が乳がんになった時に、少しでも知識を持っていてもらいたいです。
私も、夫が検査をしてくれるところを調べてくれたんですよね。家族だから、やっぱり心配だったんだと思います。最終的には彼に行け!と言われて行ったんですけれど、検査に行くのが怖かったんですよね。なんだかんだ言い訳をつけて、遅くしちゃうんですよ。
今は女性だけ「頑張りましょう!」という感じが少しあるような気しますが、私たちの周りにいる第三者が全員女性というわけではないので、男性にも知ってもらいたいです。
会社でも、抗がん剤を打ちながらお仕事をされている方はたくさんいるから、知ることでどう対応できるか理解が深まると思うんですよね。理解すれば、協力してもらって治療ができます。協力がないと治療はできないから。

今後、吉田さんがPiNKに期待していることがあれば教えてください。

PiNKが普通の本屋さんにも並んでほしいと思いました。特集雑誌だと乳がんの人だけという感じもしますけれど、一般の方も読めるように、よりアクセスしやすいところにあったら良いなと思いました。
あとPiNKの表紙についてですが、今はサバイバーストーリーを書いた女性が写るじゃないですか。それもとても良いと思いますけれど、「ご主人と協力して治したよ」みたいな感じで、ご夫婦で写るとかね。サバイバーの方にとって大切な人と一緒に写る。そういうのもいいよなと私は思いました。

最後に、吉田さんにとってPiNKはどんな存在でしたか?

支えと希望ですよね。私、病院でPiNKを見たときに雑誌に載ろうと思いましたもん。私にとってポジティブなことしかないです。

ありがとうございました!

2020年夏号 サバイバーストーリー 吉田えりさん

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