21 10月 セックスと親密さ 〜もっと話してみよう〜
PiNK 2020 Spring Issue
セックスについて話すのは、必ずしも簡単ではありません。しかし、話すことががん診断後の充実した性的な関係への鍵となります。このことについて、ケイト・パーソンズ氏にお話を伺いました。
乳がんと診断されると、セックスやその他の親密な行為に対する思いが影響を受けやすくなるのは驚くことではありません。
外見の変化は女性としての自己認識に影響します。痛み、不快感、または感覚の鈍化などといった治療の副作用もまた、自信をなくしてしまう原因になることがあります。
しかし、以前と同じではなくても、パートナーとサポートし合いながらコミュニケーションをとることで、感情的なつながりを深めて親密さを築いていくことができるのです。
親密さを築いていく
がん診断後の最初のセックスに不安を感じるのはよくあることです。パートナーがいれば、きっと相手も不安に感じていることでしょう。
あなたとパートナーが今の気持ちを正直に打ち明けたり、どのようなアプローチを実際にとっていきたいかを話し合ったりすることは、二人がリラックスするための助けとなります。
セックスについて話すのは必ずしも簡単なことではありません。そのために、寝室から離れて二人が心地よく感じる場所で話すことをおすすめします。
「がんによって、カップルがお互いに自分を守ろうとして、相手から感情的に距離を置いてしまう場合もあります」と、Relate のシニア・コンサルタントのレイチェル・デイビス博士は言います。
「楽しいことをしながら時間を過ごし、リラックスし、共に笑い合い、お互いの世界に興味を持つことが大切です。感情的なつながりを育むことで、親密さが築かれてゆくのです」
思いを共有する
がん診断前からパートナーがいる場合、相手が以前の経験と比較してしまうのではないかと不安に思うこともあるでしょう。
パートナーがあなたに対して性的にどのように反応するかは、相手が診断をどう受け止めたかによって変わることがあります。
あなたを動揺させないために、パートナーがセックスについて触れたり、求めたりすることを控える場合もあるかもしれません。
最初のうちは難しいと感じても、まずはあなたの気持ちをパートナーに話すことから始めてみましょう。そうすることで、パートナーも自身の思いや心配などについて話しやすくなります。あなたも相手の話を聞くことで、無意識のうちに思っていた自分の勝手な思い込みに気付くきっかけとなるかもしれません。
「セックスまではできそうにないと感じている一部のカップルは、当初の親密な関係に戻ることで良い結果を産むことがあります」とデイビス博士は言います。
「新鮮な気持ちで様々なことを試してみる絶好の機会で、あなたの性的な感情を取り戻すことにもつながるでしょう」
がんの診断と治療が、パートナーとの関係をぎくしゃくさせてしまうこともあります。トラウマを共に経験することで関係がより親密になる場合もあれば、二人の関係の根本的な問題を浮き彫りにしたり悪化させてしまう場合もあるからです。
こうした変化はは話し合うのが難しく、解決に時間を要することもあるでしょう。
一部の人々は、パートナーが乳がんと診断されたという事実を受け入れることができず、一時的にまたは永久的に相手と感情的に距離を置いたり拒絶してしまうことさえあります。
心配しすぎずに話す
今、あなたにパートナーがいなければ、これからあたらしい関係を築いていくことが困難に思えるかもしれません。
また、性的な関係を持ち始めると、乳がんの治療を受けたことについて、いつ、どのように打ち明けるべきか不安が生まれるかもしれません。
大切なのは、十分に準備ができて気持ちに余裕ができたと感じたときに初めて、相手と話し合うことです。
「ご自身についての情報をどう伝えるかは、あなたがコントロールできるのだということを忘れないでほしいです」とデイビス博士は言います。
「がんはとても個人的なことであり、何をいつどのように伝えるかは、ご本人が決めるものなのです」
新しいパートナーに知らせるべきときが来たとあなたが感じたとしても、相手がショックを受けて適応するのに多少の時間を要する場合があります。彼ら自身が持つ、がんに対する不安や恐れなどの思いもあるからです。
一方で、新しいパートナーが理解を示し、あなたの経験があなたという人間を形づくっているのだと素直に受け入れてくれることもあります。
「相手があなたとまったく同じように影響を受けると思い込んではいけません」と、デイビス博士は言います。「あなたのパートナーは明らかにあなたに惹かれていて、あなたとの性的な関係を望んでいるのですから、まったく問題に思わない場合もあるのです」
パートナーへの話し方 4つのポイント
- 素直で素直になる。こうすることにより誤解を避け、あなたの限度をパートナーに理解してもらうことができるようになります。
- セックスをしていないときに話すようにする。こうすることで、セックスのときに気まずくなったり、邪魔された気分になったりするのを避けることができます。
- 性的な関係で気まずく感じることを直接話し合うのが難しいようであれば、代わりにEメールやテキストメッセージで伝えてみるのもよいでしょう。
- ご自身が気持ちよく感じることや苦手だと感じることについて話す。これがお互いを励ましリラックスさせる助けになります。