今を生きる 〜Living in the Moment〜 Part 2

今を生きる 〜Living in the Moment〜 Part 2

PiNK 2020 Spring Issue

2019年11月、7人の乳がんサバイバーの方々を迎えて行った撮影とインタビュー。みんなで力を合わせて、かたちとなりました。その裏では、自身のスキルを用いて協力してくれたチームの大きな支えがあります。本インタビューでは、チームから5人のプロフェショナルにそれぞれの思いを語っていただきました。

インタビューに参加してくれた皆様

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Daniel Ross さん
スチール担当

フォトグラファー
東京に拠点を置くフリーランスのフォトグラファー。ポートレートとフォトジャナリズムに特化する。
ニュージーランド・ダニーデン出身。幼い頃から写真を撮り始め、ロイヤルメルボルン工科大学でフォトイメージングを専攻。15年以上にわたって技術を磨く。作品を通してユニークなストーリー、経験、視点を紹介することに情熱がある。

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Jane Yamanoさん
衣装・着付担当

米国ロサンゼルス生まれ。上智大学外国語比較文化学科、山野美容専門学校卒業。学校法人山野学苑理事長、山野美容芸術短期大学学長、山野美容専門学校校長。日本美容会の草分である祖母山野愛子のもとで美道を継承し、美容教育に従事する。

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MAHIROさん
ヘアメイク担当

ヘアメイクアップアーティスト
2009年 バンタンデザイン研究所 卒業 2009年 Shutaro氏に師事
2010年 独立 その後、東京を拠点にフリーランスとして タレント、CM、カタログ、雑誌、PV 等幅広く 活動中。

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Nao Nakajimaさん
ヘッドウェア担当

デザイナー
2014年31歳で乳がんを罹患。16年再発・転移。17年東京学芸大学大学院修了。同年、ナオカケル株式会社設立。治療を続けながら自らの経験を通して「がんをデザインする」ことに取り組む。代表作は「N HEAD WEAR」。19年「deleteC」プロジェクト発足。

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Sora Shimizuさん
映像担当

ビデオグラファー
制作の撮影部で見習いをしながら、プロのカメラマンを目指している。趣味は写真を撮ること、映画を観ること、美味しいコーヒーを飲むこと。

Q: この仕事をしていてよかったなと思える瞬間はいつですか?

Danielさん

写真には感情、ムード、物語、アイデア、メッセージを伝える力があります。適切な環境、照明、構図などの重要な要素がすべて揃って完璧な写真が撮れたときが、写真家として最も満足する瞬間です。

誰もが伝えたいストーリーを持っていて、これらの思いが技術と組み合わさったとき、写真は見る人に強いインパクトを与えることができます。そんな写真を撮れるよう常に努力しています。

Janeさん

美容の仕事は本当に幅が広く、YAMANOでは髪・顔・装いという外見美から精神美・健康美という人の内面を育むことまで、トータルビューティで人を美しくすることに特化した美容教育を実施しております。

美容はジェンダーや障がいなどに関わらずバリアフリーで持続可能な分野ということもあり、技術はもちろんのことコミュニケーションやイベントなどを通して多くの皆様のスマイルとハッピーに出会えることがとても嬉しいです。

MAHIROさん

ヘアメイクのお仕事はある意味特殊な仕事で、日常の生活にあまり必要とされているものではないので、逆にこのようなお仕事ができているのが幸せだと思いますし、普段の生活で見つけた素敵なものをインスピレーションに想像したものを、仕事の現場で実際に形にできるのはとても面白いことだと思います。

ヘアメイクは人がキャンバスになるので、人肌の温度や質感がその日によって違ったり、出会った時のその方独自の空気感の違いがあったりします。紙とは違い、その時に感じたことや閃きを持って、更にイメージを膨らませるのが楽しいです。

Naoさん

N HEAD WEARをつくったことによって持てた「感動」を、必要としてくださる方に届けられたらという思いがあるので、「こういうものが欲しかった」「身につけていたら褒めてもらえてとても嬉しかった」や「外に出かけたくなりました」というお声をいただけると、進めて来てよかったなと素直に思えます。

また今回のようにスタイリングをさせていただく機会ですと、その方の美しさ・魅力に直接触れることができ、自分自身がまた感動し力をもらえます。

Soraさん

やりがいがあるなと感じるのは、僕の映像を観た方たちからの良い反応があるときです。自分の作品が誰かに影響を与えていると感じられるからです。

例えば、去年の夏に開催された大きな合宿イベントでの映像撮影を担当したのですが、最終日に作品を観るみんなの盛りあがりと躍動感は忘れられません。

Q: どんな期待を持ってプロジェクトに参加しましたか?

Danielさん

RFTC Japanのミッションに共感をしたことが、このプロジェクトに参加したいと思った理由です。僕が撮る写真を通してこの素晴らしいビジョンに命を吹き込みたいと思いました。クリエイティブで情熱ある人たちと協力し合いながら、共通の目標に向かっていくことほど好きなことはありません。驚異的な方々と共に貢献できる機会を得たことに感謝しています。

Janeさん

キャンサーサバイバーの皆様方が自らポジティブにチャレンジされている姿勢はとても美しく、尊敬しています。プロジェクトを通し皆様がより生き生きした表情でご自身を表現されることを期待いたしました。

MAHIROさん

今やっている仕事の一つとして、支援活動をされている女優さんのメイクをしていますが、彼女の活動について知ったことや自分自身の家族内での経験を通して、病気や貧困などの課題に対して何かしたいという思いはありました。

今回も、モデルの皆さんが少しでも前向きになる助けになれたら良いなという思いがあったので、皆さんをどう魅せようかとインスピレーションを膨らませていました。

Naoさん

毎日を少しでも心地よく過ごしたい様々な方が、いろいろなシーンでお楽しみいただけることを目指していますので、N HEAD WEARと着物のコーディネートは進めたいことの一つでした。新しい選択肢として、ファッションとして、取り入れていただけるのはとても嬉しいことです。このような企画でのスタイリングは初めてのことでしたので、新たな出会い、新たな表現はチャレンジでもありました。

Soraさん

各分野のプロフェショナルの方がいる現場で撮らせてもらえることと、皆さんに会えることが楽しみでした。制作の場で働いていますが、自分が主体となって今回のようなプロジェクトを撮るのは初めてだったので、とても良い経験になると思いました。

Q: プロジェクト当日はどんな体験でしたか?

Danielさん

元気づけられ、刺激を受けました!クリエイティブで才能ある人々が一丸となって価値あるプロジェクトに取り組んでいる姿は目を見張るものでした。関係者全員がとてもプロフェッショナルで、生き生きしていました。多くのチャレンジを通り勝利した6人の素晴らしい女性のストーリーを伝えるためにいることに責任を感じましたし、一部となれたことを光栄に思います。

Janeさん

伝統文化きもののトータルビューティを体験するプロジェクトを実施いたしました。皆様が好きな着物を選びヘアメイク・着付をした後に、本学のスタジオで一人ひとり撮影をして、とても楽しんでいただきました。

MAHIROさん

普段の仕事とは違う現場だったので、最初は気負っていた部分がありましたが、良い意味でとてもナチュラルなかたちで皆さんと繋がれたんですよね。実際に皆さんとお会いしたときの印象は、本当に素敵で強い方たちだなということでした。

お会いしたことによってサポートしようという気負いがなくなり、シンプルに皆さんを美しくしようというマインドセットに変わりました。また、メイクをしながらお話していくと思っていたのと違う接点で繋がれたりして、とても楽しかったです。

今までの仕事の現場は、人が喜ぶことをしようというよりは、自分がイメージするビジュアルをつくっていたように思いますが、この日は、皆さんを美しくするお手伝いをしていることが嬉しかったです。人と人との繋がりを感じた一日でした。

Naoさん

モデルの皆さま・着物・メイク・ヘア・写真・映像と様々な要素が交わり、かたちとなるものなので、当日まで分からないこと、当日になっても分からないこともありました。ですが、それを含めて表現を楽しめる心強いプロの方々とご一緒できたことは、とても幸せで心から夢中になれる時間でした。

Soraさん

まず、一つひとつのやるべきことを落ち着いてできたのはよかったと思いました。また。皆さんとお話しながら一緒に作品をつくっていることがとても楽しかったです。

一日の中でも特に僕の印象に残ったのは、モデルの方たちが衣装の着物を着て出て来たときと、スチール撮影の風景を撮らせていただいていたときでした。皆さんはたくさんのことを経験してきたと思いますが、そこにいる一人ひとりがとても美しかったです。

Q: あなたが生み出したい違いは何ですか?

Danielさん

私が仕事をしていて最も好きで、違いを生み出せていると思うことの一つは、人々の唯一無二なストーリーを紹介できるプロジェクトに関われているときです。特にこのプロジェクトを通して、モデルとなった一人ひとりの違う側面を見せたいと思いました。大胆な色彩と活気のある写真を撮ってポジティブな楽しさを出したかったし、撮らせたいただいたインスピレーションナルな女性たちを讃歌したいと思いました。

Janeさん

人生において、どんな時も自分らしく輝いて生きていくことはとても重要です。YAMANOでは「美道」という髪、顔、装い、精神美、健康美の5つのエレメンツを軸に生き生きとしたライフスタイルを提唱しています。美道とスマイルでビューティフルライフを実現していきたいと思っております。

MAHIROさん

今までは目の前にあることを一生懸命やってたから、自分のしてきた仕事について振り返ることがあまりなかったように思いますが、今回のプロジェクトに関わったことを通して更に考えるきっかけができました。

私にはダウン症の姉がいるのですが、ちょっと違った個性を持っている方や彼らのご家族が肩身の狭い思いをせず、自信を持って自分らしく毎日の生活を送って欲しいという思いがあります。

私ができることとして今後やってみたいのは、本人だけでなく家族も含めて、ロマンチックにヘアメイクをして家族ポートレート写真を撮ること。仕事とは別のパッションプロジェクトとしてやっていきたいなという思いがあります。

Naoさん

変化はどうしたって起きますし、コンプレックスはあるものです。それでも生活は続くわけですから、「今」の自分を少しでも好きでいられるような工夫をかたちにし、届けていけたらと活動しています。その先で目指すのは、それが無理なく自然と共有しあえる時間・空間です。

今回、何より素敵だなと感じたのは、撮影の合間にそれぞれが和やかにお話している時や、みんなで賑やかに写真を撮っている時でした。モデルの皆さまはもちろんですが、そこにいるみんなの想い・美しさ・魅力が本当に輝いていて、進めていきたいことに向けての確信のようなものを感じました。

Soraさん

多くの方に観ていただけるような作品を撮っていきたいです。僕は映像を通してたくさんのことを考え、学び、インスピレーションを得てきました。僕がそうであったように、観る人が自身の可能性に気付くきっかけをつくれたらと思います。



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