02 4月 今を生きる 〜Living in the Moment〜
【訂正とお詫び】
2020年春号の「今を生きる」の紙面記事にて下記のように誤りがありました。ここに深くお詫びし、訂正させていただきます。
(誤)友部美和子さん
(正)友部美波子さん
PiNK 2020 Winter Issue
PHOTO: Daniel Ross
2019年11月、7人の乳がんサバイバーの方々と各分野のプロフェショナルのチームを迎え、撮影とインタビューを行いました。一人ひとりがそれぞれの思いをもって参加したこの企画。本インタビューでは、乳がんを経験された彼女たちの「今」を伺いました。
井出久日子さん
Q: 気分転換に何をすることが好きですか?
犬の散歩です。乳がんになってめっきり運動不足になりましたが、昨年、犬2匹を家族に迎え入れ、毎日2時間の散歩と週末にはドッグランに行き心身ともに健康的な生活を送れるようになりました。私一人で歩いていても誰からも声を掛けられることがないのですが(笑)犬と一緒に歩いていると子供からお年寄り・サラリーマンまで沢山の方に「可愛いね」と話しかけられるのが快感です。
Q: 今の自分の好きなところを1つ教えてください。
困難をチャンスに変える前向きな精神です。抗がん剤治療で髪が抜けた時でも、こんな時こそ美しくなりたいと色々なウィッグや帽子でおしゃれを楽しみました。
Q: 今の自分が挑戦したいことは何ですか?
2つのミセスコンテストでファイナリストになりコンテストに出場した経験から、乳がんサバイバーさんのコンテストを企画・ウォーキング指導などに携わりたいです。
Q: なぜこの企画に参加しようと思われましたか?
ステージ4の私が心身ともに元気になれたのは、同じ病を経験した仲間からの励ましの言葉や笑顔でした。彼らは一生の宝物で、今ではこの経験に感謝さえしています。自分が受け取ってきたこの宝物を、病で苦しんでおられる方に共有していきたい。この企画を通して私の経験を伝え、笑顔を届けられるような存在でありたいと思います。
北林あいさん
Q: 気分転換に何をすることが好きですか?
体を動かすことが好きですね。乳がんになったことをきっかけにリハビリの一環でヨガを始めて、今はキックボクシングもしています。体を動かすことで停滞しているものも巡りが良くなるような気がするし、気分が落ち込んだ時も思考の流れも良くなるような気がするので定期的に体を動かすようにしています。
Q: 今の自分の好きなところを1つ教えてください。
病気をきっかけに、以前よりも自分をいたわれるようになったことや、人に優しくなれたような気がします。サバイバー仲間とのつながりで大変な経験をしてきた方々を目にしているので、人の痛みが以前よりもわかるようになったし、自分の弱い部分や傲慢な部分に気付いたり人に助けられてきたことを改めて実感したりしたことで、より思いやりを持てるようになりました。そういった意味で、病気はいろんなものを教えてくれたと思います。不完全であることが当たり前だし、それを受け入れる清さや大きさが以前よりも少しずつ芽生えてきているのかなと思える、そういう自分は好きですね。
Q: 今の自分が挑戦したいことは何ですか?
乳がんになって同じ思いをされた方も多いかもしれませんが、女性としての自信を一度失うという経験をされた方が多いんじゃないかと思うんです。恋愛を諦めたり、結婚を諦めたりと、私もそんな時期がありましたが、今年は術後10年でやっと経過観察が取れて、新しい一歩を踏み出す時期なので、女性としての恋愛や結婚にもう一度向き合って、出会いを楽しんでいけたらなと思います。
Q: なぜこの企画に参加しようと思われましたか?
今までは、また病気が再発するんじゃないかという不安を抱えた10年だったんですけれど、これからは、いろんなことにチャレンジしていく人生を新たに進みたいなと思っていたんです。その時にこの企画のお話をいただいたので、自分へのご褒美も兼ねて、新しい一歩へと自分の背中を押すような気持ちで、参加させていただきました。
下川美佳さん
Q: 時間を忘れるほどに熱中してしまうことは何ですか?
趣味にしているネイルアートです。ジェルネイルのセットを一式持っているので、時間があるときには数時間かけて、両手の指をネイルして楽しんでいます。
Q: 今の自分の好きなところを1つ教えてください。
以前は、何かをやろうと思い立っても、どうせ自分にはできないだろうとか、やっても無駄だという考えが先に出てしまい、やろうとしなかったんですけれど、乳がんになって自分の時間には限りがあるんだということを自覚してからは、思ったことは何でもとり合えずやってみるという姿勢に変わりました。自分のそういうところが良いなと思っています。
Q: 今の自分が挑戦したいことは何ですか?
挑戦というのは私の日々の生活にあるものです。例えば、レストランでちょっと違うメニューを選んでみたり、会社に行くときに違う道を通ってみたりと、いつもの中に変化を探す楽しみを積み重ねていくことが、大きい挑戦につながるかなと思っています。これからもそれを続けて、毎日小さな冒険をしたいと思っています。
Q: なぜこの企画に参加しようと思われましたか?
私は乳がんや離婚の経験があり、人生の中でとても辛い時期も経験したことがありますが、そんな経験があっても自分の気の持ち様で楽しいことを見つけたり、楽しい人生を歩めたりすることができると思っています。同じように悩んでいる人に、こういうこともできるんだよという姿を見てもらいたくて、今回は参加させていただきました。
国吉純さん
Q: 時間を忘れるほどに熱中してしまうことは何ですか?
仕事になってしまうけれど、土いじり。やっぱり土を触っているときが一番落ち着くし、楽しい。園芸は “horticulture” って言いますよね。”To culture” は、つまり耕すこと。耕しながら、自分の心も耕されている気がします。
Q: 今の自分の好きなところを1つ教えてください。
前向きなところ。いつも楽しくしているところ。多分それが一番だと思います。何かの問題にぶつかっても、必ず良いところや、こうできるんじゃないかということを必ず見つけて、それを実行すること。失敗しても、とりあえずやってみるのが一番好きです。
Q: 今の自分が挑戦したいことは何ですか?
乳がんになって10年経つのが、61歳になるときです。世間では60歳が大きな変化の年だと思いますが、私は61歳を目標に仕事をしっかりやって、その後は自分の好きなことをしたいと思っています。今まで行けなかったイタリアにも行きたいし、レモンの島のアマルフィにも行ってみたいし、いろんな所にまだまだ行ってみたい。学ぶこともまたチャレンジしていきたいです。できれば、また大学に戻りたいなって。もともとは教育を勉強していましたが、看護やセラピーといったことを勉強していきたいなと思いますね。
Q: なぜこの企画に参加しようと思われましたか?
とても素敵な企画だなと思ったからです。やっぱりおしゃれすることは女性にとって、とても大切だと思います。私たちはがんになって胸を失ったり髪の毛を失ったりと、いろんなものを失ったけれど、前向きに生きるためには、お着物を着たり華やかなものを身につけたりして、みんなと一緒に「素敵ね」「かわいいね」と言い合えるのは大切だし、女性だからこそできることだと思うんですよね。その場をいただいたことにとても感謝しています。
溝口綾子さん
Q: 時間を忘れるほどに熱中してしまうことは何ですか?
意外と熱中してしまうのが、家事。私はシングルなのでずっと親元にいましたが、今は家庭の事情で親を介護していて、自分ですべての家事をやっています。お料理を作ることなど、やってみると意外と面白いというか、熱中できるかなと。段取りを考えたり、やったことで家が綺麗になったり、家族が喜んでくれるのが結構楽しいです。
Q: 今の自分の好きなところを1つ教えてください。
自分の好きなところは、いろんなことにチャレンジしようという気持ちと、前向きでいようとする自分自身ですね。
Q: 今の自分が挑戦したいことは何ですか?
いろんなことに挑戦したいと思っていますが、今は介護が自分にとって一番大変であり、生きがいでもあるとも思っています。挑戦する、とはちょっと違うかもしれないけれど。母を介護していますが、母が笑顔でいてくれることが一番楽しいです。 母と少しでも長く、楽しく、笑って暮らせるような毎日を送っていきたいです。
Q: なぜこの企画に参加しようと思われましたか?
ワクワクすることや、ドキドキすることが大好きだし、新しいことにチャレンジすることも大好きです。
私がやっている患者会でも、女性として前向きに何でもチャレンジして、美しく生きていここうというのがテーマなので、お話をいただいたときに、まさしくそのテーマに沿っていると思いました。プロにヘアメイクをしてもらい綺麗に着飾っていただくことによって、違う自分を見れると思ったし、その機会を与えていただいたことに感謝し、チャンスを生かしたいと思い参加しました。
友部美波子さん
Q: 時間を忘れるほどに熱中してしまうことは何ですか?
走ることです。最近走り出したんですよね。ここ数年間、約2年おきに病気をしてオペをしているんですけれど、その間動けなくなると体重が増えたりすることもあって、最近は家の近くを走っています。汗をかくと嫌なことも忘れるんですよね。
Q: 今の自分の好きなところを1つ教えてください。
もともとポジティブな性格で、本当に超ポジティブです。どんなことがあっても、きっと神様が私に何か良くしようとして与えてくれたのかなって。口癖で、乗り越えられない試練はない、と言っています。悩むこともありますけれどそれは一瞬で、あとは笑って過ごせています。
Q: 今の自分が挑戦したいことは何ですか?
最近はいろんなことに挑戦をしていて、だいぶクリアしてきていると思います。私は2年おきに病気の繰り返しだったのですが、また走り始めたので、大会に出て完走できたらいいなと思います。
Q: なぜこの企画に参加しようと思われましたか?
私は何でもやりたいと思ったことを、躊躇せずにやるタイプです。この企画はお友達から聞いたんですけれど、その時に「良いな!やってみよう」と、本能でピンとくるものがあって参加しました。いろんなスタッフの方に綺麗にしてもらえてすごく嬉しかったです。
附田香織さん
Q: 気分転換に何をすることが好きですか?
ヒールを履いてジャズダンスをするジャズヒールというダンスがあって、今はそれを気分転換でやっています。ベースはジャズダンスなんですけれど、より女性らしさを出すためにヒールを履いて少しセクシーに踊るというものです。すごくかっこいいです。
Q: 今の自分の好きなところを1つ教えてください。
病気になる前は自分の体にあまり意識が向かなかったんですけれど、よく乗り越えたなって思うんです。化学療法などもすごく大変だった中、持ちこたえてくれた自分の体にすごく感謝をしているし、好きなだと思いました。
Q: 今の自分が挑戦したいことは何ですか?
ジャズヒールが上手くなりたいなと思っています。全然できなくて、毎回冷や汗なんですよね。冷や汗をかきながらでも練習して、上手くなりたいです。
Q: なぜこの企画に参加しようと思われましたか?
私は病気を通して、生きているということ、自分自身が自分自身であるということがすごく素敵なことだなと思いました。病気に隠れるんじゃなくて、病気であっても、私は私ですということを伝えたいなと思ってこの企画に参加しました。