04 7月 転移性乳がんと共にアクティブに…
がん患者のエクササイズを専門とするリジー・デイヴィスさんに、転移性乳がんであってもアクティブに生きるためのアドバイスを伺いました。
PiNK 2019年春号 pp.8-9
がん治療を受けている方は、運動をすることなどもってのほかだと思う方が多いかもしれません。しかし、運動することが転移性乳がん(乳がんのがん細胞が体内の他の部位に転移した状態)の患者に良い効果をもたらすという新たな事実が証明されてきています。
これまでは、二次性乳がんの患者は運動を控えるべきだと考えられてきました。しかし今では、安静にすることが必ずしも最善の策ではないという考えが一般的に広まりつつあります。
たった10分間でも日常的に体を動かすことで、エネルギーレベルが高まり、QOL(生活の質)が向上するということが研究で明らかになってきています。運動をすることで、物理的にも精神的にも自分自身の健康状態をコントロールできるようになります。激しい運動や、難しい運動をして変化を起こそうとする必要はありません。
日常的な運動に期待できる効果は?
- 治療による副作用や、がんに関連する副作用(疲労、痛み、悪心、リンパ浮腫、息切れなど)の影響の軽減
- 体重のをコントロール
- 筋力やスタミナの向上がつき、骨量の維持
- 不安やうつ状態のが解消や気分転換
- 血圧のをコントロール
適切なエクササイズの量は?
現在ガイドラインで推奨されているのは、30分間の運動を週5回行うことです。多く感じるかもしれませんが、最初はゆっくりと、時間を区切りながら行うと取り組みやすくなるでしょう。
まずは、座ってじっとしている時間を減らすことから始めてみましょう。最初は5~10分間ほど歩くだけでも十分です。続けていくうちに、もっと長く歩いたり、ペースを上げて歩いたりすることもできるようになります。
運動できる量は体調によって異なります。自分自身の体調に合わせて行いましょう。
運動の始め方とモチベーションを維持するための5つのポイント
- 楽しくできるものを選ぶ(ガーデニングや家事などででもOK)
- 実現可能な目標を立て、最初はゆっくりと、徐々にステップアップする。
- 先のことを見据えて、日々の体調の変化に対応できるようにする。
- エレベーターではなく階段を選ぶ、、1つ前のバス停でバスを降りる、、友達とコーヒーを飲むよりも一緒に歩きながら語り合うことなどを意識して行う。
- 日記やスマートフォンアプリ、歩数計などを使って運動の記録を付け、運動をルーティン化することを目指すしましょう。
治療中の場合や副作用がある場合
- 安全な運動法方法や注意点を知るため、担当の医療チームにサポートしてもらういましょう。
- 家や庭の周りだけでも歩くことを心がけるましょう
- エネルギーレベルが低いときは、呼吸法やストレッチ、バランスエクササイズなどを行ういましょう
- 一日の中で最も元気な時間に運動するようにするしましょう
- 自分の体調をよく観察し、運動する前と運動した後の感想を記録するしましょう
- 自分に合ったペースで進め、休憩すべきタイミングを見極められるようにする
乳がんの骨転移とエクササイズ
運動することで、骨の強化や痛みの緩和が期待できます。接触のあるスポーツは避け、骨への負担の少ないエクササイズを選びましょう。
- 骨を強くするためにウォーキングをする
- スイミングやエアロバイクも安全なオプションとして活用する
- 背骨をひねったり、大きく曲げたりするようなような極端な動きをは避ける
- 転んだりする危険性の少ないエクササイズを選ぶ
モチベーションを維持するため、以下のアファーメーション(前向きな言葉を自分に言い聞かせること)にトライしてみてください。例えば、
「強くなって、自分の体や人生をコントロールする感覚を取り戻そう」
「私は人生で最も厳しい試練に立ち向かったことがある。だから、少しの運動くらいできるはず」
乳がんの肺転移とエクササイズ
息切れやせき、痛みは、乳がんの肺転移の症状として起こりうることですがとして起こりうることです。ある研究では、呼吸器系の病気を持つ患者が日常的な運動をすることで、息切れが緩和され、スタミナがつき、日々毎日のパフォーマンスやQOLが向上するということが証明されています。
軽く運動するだけで、血液に送られる酸素はが増加します。呼吸法エクササイズを日常的に取り入れ、自分がリラックスしている状態を思い描きながら、安定した深い呼吸をゆっくりゆっくりと行ってみてください。行うなどの、呼吸法エクササイズを日常的に取り入れてみてください。
乳がんの肝転移とエクササイズ
乳がんの肝転移は、症状が現れない方もいれば、痛みや悪心、食欲不振、しゃっくり、疲労など複数の症状が現れる方もいます。運動で症状が緩和されることもありますが、自分の体調をよく観察し、無理をしないようにしましょう。
乳がんの脳転移とエクササイズ
乳がんが転移している場所によってさまざまな症状(頭痛、吐き気、視界のぼやけ、けいれん発作、めまい、平衡障害など)が現れます。
これらの症状がエクササイズの妨げになることはありませんが、不要なケガをしないよう、自分に合ったエクササイズを選ぶことが大切です。例えば、平衡障害がある患者さんには、屋外でのサイクリングよりエアロバイクのほうが適しています。また、自身の安全を守るのために、、エクササイズは一人で行わないようにしましょうてください。