簡単にできるエクササイズ

簡単にできるエクササイズ

PiNK 2020 Winter Issue

活動的になるのは難しいことではないはず。日常生活にエクササイズを取り入れる簡単な方法を考えてみましょう。

身体の健康に良く、疲労感や体重増加など、がん治療の副作用を減らす助けにもなり、さらに気分も向上させてくれるものとは何でしょう?答えは、そう、エクササイズです。

乳がん治療後にエクササイズを始めたり再開したりすることは、なかなか大変なことのように思えるかもしれません。エクササイズという言葉からして、面倒に感じることもあるかもしれませんが、ジムのメンバーシップや高級な機材がなくてもより活発になることはできます。

「やさしいストレッチや呼吸運動で、不要なストレスや緊張をほぐすことから始めるのも良いかもしれません」と、 エクササイズの専門家リジー・デービスは言います。

「しばらく運動していなかった場合は、ゆっくりと始めましょう。毎日様子を見ながら運動量を徐々に増やしていきましょう。」

国のガイドラインでは、誰もが毎週150分以上、早歩きなどの適度な有酸素運動(あるいは75分のランニング等の活発な運動)をするべきだとしています。しかし、忘れてはいけないことは、少し運動するだけでも全くしないよりは良いということです。最初は一回たった10分であっても得るものはあります。

どんな運動?

日常生活に定期的な運動を取り入れる方法は、たくさんあります。散歩に出かけることが運動量のレベルを上げる一番簡単な方法です。水泳や水中エアロビクスもフィットネス効果が高く、水が身体の関節に与えるストレスを軽減してくれます。

筋力を高める運動も行いましょう。ガイドラインでは週2回以上するのがよいとされています。ヨガやピラティスなどの運動は、筋力強化だけでなく柔軟性を養うのにも効果があります。また、バランスや体幹、姿勢を良くするためのエクササイズは、効果的に身体の重心を強化してくれます。

「油断せず安全に、あなたに合った運動をしましょう。そして始める前に、必ずご自身のを担当を専門家のチームにまずご相談ください」とリジーは言っています。

「日記をつけて、ご自身の努力を記録したり、運動後に感じた変化をメモしたりするのもよいでしょう」

「始めは痛みや不快感、凝り、疲れや脱力感があるかもしれません。異常な痛みを感じた場合は、運動を止めることが大切です」

家でできる3つのエクササイズ

体力をつけるのにジムは必要ありません。各エクササイズを2〜3回から始めて、毎日徐々に回数を増やし、10回から15回やってみましょう。

1. 座ったり立ったりする

このエクササイズは脚を強化します。

  • 椅子に座り、足を腰の幅に開いて床につけた状態から、踵で体重を支えてゆっくりと立ち上がり直立します。その後、静かに体重を落として座った状態に戻ります。
  •  立ち上がったり座ったりする際、脚とお尻の筋肉をキュッと引き締めることに集中しましょう。
  • 立ち上がる際は、椅子や腿に手を突いて支えても良いですし、少し難しくしたい場合は、胸の前に腕組みをしても良いでしょう。

2. 壁プッシュアップ

このエクササイズは胸を強化します。

  • 壁の前に立ち、足を腰の幅に開きます。手を肩幅より少し大きく開いた状態で壁に置き、指先を肩の高さに合わせます。
  • 肘を広く開いたままに保ち、壁に身体が持たれた状態で息を吸います。次に、身体を起こしながら息を吐きます。

3. 踵上げ

このエクササイズは筋力と身体のバランスを改善します。

  • 椅子の背につかまってバランスを保ちます。足を腰の幅に開いて立ち、つま先に体重を写して踵を地面から高く上げ、ゆっくりと下ろします。
  • 難易度を上げたい場合は、椅子につかまらず同様の動きをやってみましょう。

エクササイズを通して前進する

ジャッキー・スカリーは、乳がんの治療中、ウォーキングから徐々にランニングへと運動量を増やしていきました。

「治療中、エクササイズが、外で新鮮な空気を吸うことを促してくれて、セルフケアの大事な日課の一部となりました。治療を受けている時は、エクササイズと考えただけで気が重く、始めるのは難しいものです」

「乳房切除術とDIEP(深下腹壁動脈穿通枝皮弁)再建手術を受けた後は、何事も急がないようにしていました。まずは少しの距離を歩くことから始めました。毎日歩数を増やしていき、元気のある時はいつもより多く歩いて、通り過ぎた街灯柱の数で自分の進歩を測っていました。エクササイズを日課の一部にしたことで前進することができ、起きたくないような日でも、毎日玄関のドアを開けて外に出ることができましたウォーキングからランニング、そして生まれて初めてのレース出場へと運動量を増やしていくことによって、身体を管理することができました。私はこれを、生命保険ポリシーと呼んでいます」

「治療のことを振り返る時、私は手術や化学療法のことはほとんど考えません。ここまで来れたということだけに集中するようにしています。今年は、診断から満5年を迎えることができます。今までになく幸せで健康だと感じていますが、それもエクササイズのおかげだと思います」

運動を始めるときの5つのコツ

  1. 短い散歩や、優しいストレッチ、または深呼吸運動から始めましょう。
  2. 一緒に運動する仲間を見つけてモチベーションを高めましょう。
  3. ウォーキングアプリや歩数計を使って、毎日の歩数をモニターしましょう。
  4. 自身が楽しめて、ライフスタイルに合ったものを選びましょう。
  5. 一日の間で自身にとって適した時間を選びましょう。


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