睡眠は大切

睡眠は大切

PiNK Fall 2018 p.10-p.11

夜ぐっすり眠るための方法を専門家に聞きました。


眠りにつきにくい、またはぐっすり眠れない症状を不眠症と呼びますが、NHS(イギリス国民保険サービス)によると、イギリスでは約3人に1人がこの症状に悩まされているという統計が出ています。眠りにつきにくい、または十分な睡眠が取れず翌日ぼんやりしてしまう、といった悩みがある場合、まず睡眠が妨げる原因を明らかにすることが大切です。

原因を明らかにする

睡眠の専門家であるニール・スタンレー医師によると、乳がんと診断された人が不眠症になる原因はいくつかあります。

「ストレスと不安を感じる時期だということが一番大きい原因でしょう。乳がんと診断され、ストレスや不安を感じたりしますが、これらも睡眠を妨げる原因となります」とニール氏は説明します。

睡眠に悪影響を及ぼす薬もたくさんあります。例えば、ステロイド系の薬剤は抗がん剤治療による吐き気を抑えるために処方されることが多いのですが、眠りにくくなることがあります。

ホルモン療法によるほてりや睡眠時の汗などの副作用が睡眠の妨げとなることもあります。不眠症の原因を特定し、改善するための方法を見つけることがより良い睡眠を得るために必要です。「がんだからぐっすり眠れないのは仕方がない、と諦めてはいけません」とニール氏は言います。

ストレスと不安感を軽減するためには、それらを軽減する解消法を試してみることをお勧めします。リラクゼーションや瞑想からエクササイズまで、自分でできる解消法はたくさんあります。自分にあったものを見つけるとよいでしょう。睡眠が妨げられている原因が薬やその副作用なら、対処法がないか医療チームに相談してみましょう。

眠くなりますか?疲れていますか?

日中に眠気を感じる場合、夜ぐっすり眠れていないことが考えられます。しかし、眠気と疲労感は別ものです。疲労感とは、寝たり休んだりしてもなくならない非常にひどい疲れのことで、乳がん治療の一般的な副作用であると言われています。このような疲労感を感じている場合は、体を動かすなどの様々な解消法があります。

3つの必要なこと

「睡眠をしっかり取れている人にどのように眠りについているのかと聞くと、だいたい『特別なことはしていない』と答えるでしょう」とニール氏は言います。しかし彼によると、眠るときに必要なものが3つあるそうです。

「まず必要なのは、寝室を眠りやすい環境にすることです。暗く静かで、涼しく快適な空間であることが必要です」誰かと一緒に寝ることで良く眠れない、または相手を起こしてしまうことが心配な人は寝床を別にすることを考えるとよいかもしれません。

次に必要なのは、体がリラックスしていることです。そのためには日中起きていることが大切です。日が出ている時間帯に運動をすることで、夜に眠りやすくなります。

最後に必要なのは、気持ちを落ち着けることです。「大抵の場合、眠れないのは気持ちが原因です。自分の気持ちを落ち着ける方法を見つけることが大切です」とニール氏は説明します。方法は人によって異なり、寝る前に本を読む人もいれば、ホットミルクを飲んだり瞑想をしたりする人もいます。「音楽を聴くと落ち着くなら、それでも構わないのです。気持ちが落ち着くのなら、何をしてもいいのです」とニール氏は言います。

寝る前にリラックスすることが重要です。就寝30分前にはスマートフォンやタブレットを消すようにしましょう 。

睡眠補助および治療

店舗では、ハーブの錠剤やドロップ、スプレー、パッチなど、安らかな睡眠を助ける効果があると謳う市販の製品がたくさん売られています。

枕にラベンダーオイルを数滴たらせば眠りにつけるのかという質問に「これだという一つの答えはありません。自分に効果があればいいのです。ラベンダーの香りが嫌いなら、リラックスすることはできません。かといって、試して損はないでしょう」とニール氏は答えます。何かを試す時は一晩ではなく、少なくとも一週間は試すことを勧めています。

市販の睡眠薬などは効果があるのかという質問には、「市販の睡眠薬は長期的な解決になりません。短期使用が目的のものばかりです」 不眠症を改善するために、医師が睡眠薬を処方することもあります。

全ての薬には、効果とともに副作用が必ずあるということを忘れてはいけないとニール氏は言います。また、睡眠薬が不眠症の根本的な原因を解決することはできないことも強調しています。とはいえ、必要に応じて服用することが睡眠改善の助けになることもあります。乳がんの診断を受けて以来、以前のように眠れなくなってしまった人の中には、トーキングセラピーが役に立っている人もいます。かかりつけの医師や専門の医療チームに相談してみるのもよいでしょう。

眠気を待つ

今まさにベッドにいて、眠りたいのに眠れない人はどうしたらよいのでしょうか?それに対してニール氏は「眠ろうと頑張ること自体間違っているのです。寝ようと思えば思うほど、寝られなくなるものです」とアドバイスをしています。ベッドに入ってから30分経ってもまだ寝られない場合、別の部屋に行き何か他のことをするなどして、眠くなったらまたベッドに戻ることを勧めています。



パートナー