がんと仕事のQ&A がんサバイバーの就労体験に学ぶ -Part 2-

がんと仕事のQ&A がんサバイバーの就労体験に学ぶ -Part 2-

PiNK 2021 Spring Issue

がんと診断されたらはじめに見る

がんと仕事のQ&A

がんサバイバーの就労体験に学ぶ -Part 2-

お金と健康保険

Q1:

傷病手当金の申請方法と準備するべきものについて教えてください。

正社員・非正規雇用者

A1:

●必要な書類

・傷病手当金支給申請書
※「傷病手当金支給申請書」には、医師の証明印(必須)と勤務先の証明印(退職後を除き必須)が必要です。
・出勤簿のコピー (提出先によっては不要)
・賃金台帳のコピー (提出先によっては不要)

●申請方法

・協会けんぽ:全国健康保険協会 各都道府県支部に郵送
・健保組合や共済組合:加入組合によって異なります。勤務先の担当者に問い合わせてください。

Q2:

傷病手当金の受給期間中に時短勤務することは可能でしょうか。

正社員・非正規雇用者

A2:

受給期間中に時短勤務で就労した場合、時短勤務で支給された金額が傷病手当金の額を超えていなければ、その差額が支給される場合があります。

Q3:

治療費のために、親の年金を使わせてもらっています。不安と罪悪感でいっぱいなのですが・・・。

正社員・非正規雇用者・自営業者・求職者

A3:

どうぞ、ご自身を責めないでください。今は、ご家族への感謝を伝えることと、前向きに療養することが、一番大切だと思います。体調が安定したときに、恩返しをする機会がきっとあります。

Q4:

治療後に身体に障害が残りました。障害者手帳が交付されることはありますか。また、障害年金を受給することができるでしょうか。

正社員・非正規雇用者・自営業者・求職者

A4:

主治医、もしくは通院している病院のソーシャルワーカーに相談すれば、身体障害者として認定されそうかどうか、また障害年金の受給の可否について、ある程度判断できます。その上で、申請することになれば、専門医の診断などが必要になります。手続きについては、病院の医療ソーシャルワーカーや社会保険労務士、あるいは年金事務所が相談にのってくれます。

Q5:

発病前に生命保険に入っていなかったため、将来が不安です。今からでも契約できる生命保険はあるでしょうか。

正社員・非正規雇用者・自営業者・求職者

A5:

生命保険で何を保証してほしいのかを明確にしましょう。多くの場合、すでに発症している病気では保障の対象外となりますが、既往症としてがんがあっても加入できる生命保険はいくつかの会社から売り出されていますので、探してみるとよいでしょう。契約前に、既往症に関する条項はしっかりと文面を確認しましょう。

なお、申告時に既往症で事実と違うこと(例えばがんの既往症がないなど)を書き、それが生命保険会社にわかると、生命保険は支払われない可能性もあり、それまでに支払った保険代も戻ってきません。

Q6:

休職期間中、社会保険料は免除されますか?

社員・非正規雇用者

A6:

休職期間中でも社会保険料の免除はありません。傷病手当金や休職給を受給している場合は、その金額から社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、場合によっては雇用保険料)を納付する必要があります。

Q7:

経済の負担が大きいひとり親家族が相談できる場所や、頼れる制度はありますか。

正社員・非正規雇用者

A7:

地方自治体(都道府県や市町村)は、ひとり親家庭に向けた支援制度や相談窓口を提供しています。子育てや生活支援、就業支援、経済支援など、さまざまな支援制度がありますので、まずは、お住まいの自治体が提供するサービスを探してみましょう。通院先の医療ソーシャルワーカーも相談にのってくれるかもしれません。特にひとり親家庭に向けた職業紹介事業をする会社もあります。

【コラム】父の死から学ぶ

働き盛りの50代前半で父はがんになりました。

息子の立場としては、「早すぎる死」が残念でなりませんでしたが、がん告知を受ける前から、父は貯金と生命保険で、治療費や残された家族の生活費を準備してくれていたことに助けられました。

父は、妹の結婚を知らずに他界しましたが、闘病中にもかかわらず、妹の結婚資金を少しずつ貯金しており、そのことは彼の死後に知りました。

彼の死から学んだことは、いつか「病」はやってくるであろうということ。そして、いざという時に自分の大切な人たちが困らないよう、健康なときから準備しておくということです。ですから、身の丈にあった生命保険に加入しておくことは、決して悪いことだと思いません。

わたしは、中小企業の経営者の立場からも、従業員に「会社ができることには限界があること」と「自分の身は自分で守ること」を機会がある度に話しています。

<男性 40代 遺族>



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