がんは私の人生を変えるきっかけとなった

がんは私の人生を変えるきっかけとなった

PiNK 2020 Winter Issue

乳がん診断後、人生を見直すことによってどのように前向きに生きられるようになったか、3人の女性が語ります。

世界を見たい

2012年7月に浸潤性小葉乳がんと診断された時、がんと診断された人が皆感じる恐怖や不安でいっぱいでした。

しかしある日、地元のサポートセンターで出会った素敵な女性が、子供を授かったことを除いてがんが彼女の人生で起こった最高の出来事であることを話してくれ、病院を出る時には、私の中にあった絶望感がスーッと消えていくのを感じました。この体験を通して、乳がんを自分にとってポジティブな体験に変えると決心しました。

職場で多くのストレスを抱えていたことを病気休暇中に気付いたので、パートタイムとして職場に復帰しました。旅行をすることも考え始め、2014年には交換留学していた大学生の娘に会いにシドニーを訪れました。私はこの都市に魅了され、また戻ってくると心に決めました。

その間、職場環境のストレスの多さから仕事を辞める決心をしました。旅を再開し、オーストラリア、ニュージーランド、スリランカ、シンガポール、クアラルンプールを旅し、1ヶ月間、東南アジアを巡りました。自分に合ったライフスタイルを確立していたので、お金を貯めてオーストラリアにも2度再訪しました。

私は乳がんに感謝しています。乳がんは私の人生を大きく変えるきっかけとなりました。私は以前より幸せで自信があり、不安やストレスをあまり感じません。あと5年しか生きられないとしたら、がんの再発を心配し、あれもできなかったこれもできなかったと後悔しながら時を過ごしたいでしょうか?

私は世界を見て、達成感を味わい、幸せな思い出をたくさん作りたいと思います。

ー サラ・W

遂にソウルメイトと出会えた

私は2014年12月、トリプルネガティブ乳がんと診断され、2015年8月には治療を終了しました。

パートナーとの間では私がしっかりしている方でしたが、乳がん診断後、彼が家事や買い物などの簡単な用事を自主的に助けてくれることを切に望みました。しかし彼はそれを望まず、今までと同じく私が彼の世話をすることを期待してました。

治療が終わりに近づくにつれ、具合があまりにも悪く眠りたい私に対して、セックスなどで彼の期待に添えてないことに心ない言葉をかけられることもありました。 自分のニーズしか頭にない彼に私は非常に失望し、その後、8年間の関係に終止符を打ちました。

私は「すべての物事には理由がある」という言葉を信じています。確かに乳がんに罹患したことが、様々なことを考えるきっかけになりました。

今では、物事をポジティブに捉えられるようになっています。パートナーと別れた後は何人かとデートし、遂にソウルメイトのポールと巡り会うことができました。

困難な状況からポジティブな結果が生まれることがあります。人生は生きるためにあるのです。あなたやパートナーが困難を通っているのであれば、じっくり話し合ってみてください。慣れ親しんだパートナーとの関係を維持する方が簡単であることが多いのですが、人生を変えるような経験が必要になるときもあります。

どのように新しい人生を歩みたいのかをよく考え、時間を無駄にしないでください。最も大切なのは、それが自身を幸せにするものであるなら行動に移すことです。

ー クレア

ストレスの多い仕事に戻りたくない

私は2014年に非浸潤性乳管がんと診断されました。また同じ年に、再生不良性貧血という疾患を持っていることも判明したので、治療はかなり複雑なものとなりました。心身ともに回復する必要がありました。

乳がんの診断前は、非常にストレスの多い職場で多くの責任が伴う仕事をしており、再びそのような環境に戻りたくありませんでした。健康を維持し、6歳の娘の良い母親になるためには、まずは自分自身を第一に考えなければなりませんでした。

付き合っている彼氏のサポートもあり、私はパートタイムとフリーランスという形で仕事を再開し、休息を取ったり、娘と時間を過ごしたり、病院に通ったりする時間を確保しました。私は「がんに罹患した可哀想な女性」にならないように一生懸命でした。

慈善事業の分野で働いていたこともあるため、第一線に立ち、人と直接対話する仕事が大好きでしたが、健康を優先させるために、自由が利き、柔軟性があり、家族との時間を確保できるオフィスワークを選択しました。今では職場でがんや再生不良性貧血について話せるようになりましたし、がんで人生に影響を受けた方たちのサポートも行なっています。

自身が深刻なトラウマを経験したときは、それを自覚することが大切だと思います。それ以前の人生に戻ることは難しいものです。ただし、大切なのは「人生を生きる」ことであり、自身にとっての「新しい日常」なのではないでしょうか。

新しい日常には、必要に応じて様々な変化を加えることもできます。治療から5年、10年、30年経ってもがんによって影響を受けることもありますが、無理に「克服しなければ」と思う必要はないのです。

仕事も大事ですが、自分自身や家族の健康と幸福を守ることが、私にとっての現在そして未来の最も大切な優先事項です。

ー サラ・M



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