乳がん治療後のセックス

乳がん治療後のセックス

Breast Cancer Careでは、乳がん治療後のセックスや愛情行為について、800人以上の乳がんサバイバーのを対象に調査を行いました。その結果をみていきましょう。

PiNK 2019 Spring pp.22-23

Breast Cancer Careの調査を受けた女性の大多数(80%)は、乳がんになった後のセックスライフに不満を感じています。「乳がんと診断される前の方が満足していましたか?」という質問には81%が「はい」と答えました。

多くの女性は暗闇の中に取り残されたように感じて、どうしたら良いか分からない状態にあるようです。3分の2以上の女性は「乳がん治療がセックスライフに影響を及ぼすことがある」ということを知らされていませんでした。

さらに、調査の対象となった女性の94%は「治療の副作用が原因でセックスをしなくなった」と答えました。

Breast Cancer Careの最高責任者であるサミア・アル・カディ氏は、「このような悲惨な結果は、乳がんになった数多くの女性にとってセックスライフが二の次になっているというリアルな実態を描き出しています」と語っています。

「今こそ、タブーを打破することが重要です。NHS(英国国民健康保健)は、すべての人がセックスや愛情行為、あるいはボディイメージの変化について話せる機会を確保し、彼女らが必要とするサポートを受けられるようにしなればなりません。」

治療後にセックスをしなくなった理由トップ5

1. 性欲がなくなったから
2. 疲れすぎているから
3. 自尊心が低くなったから
4. 膣の乾燥など更年期の症状があるから
5. 傷痕が気になるから

  • 80%は、乳がんになった後のセックスライフに不満を感じています。
  • 68%は、乳がん治療がセックスや愛情行為に影響することがあるということを医療関係者から知らされていませんでした。
  • 76%は、セックスや愛情行為に関する十分なサポートを受けられていません。

「私たちのセックスライフは停滞したままです」

英国ピーターバラ出身のシャロン・ブルーカーさん(44歳)は、2013年8月に乳がんと診断されました。結婚して3人目の子どもを産んでから、1年後のことでした。

「乳がんになって、私たち夫婦の関係は完全に『患者と介護者』に変わってしまいました。髪の毛が抜けたり、傷ができたりして体が変化するうちに、自分にはもう魅力がないのだと思うようになりました。私はよく、鏡に映る自分の姿を受け入れることができずに泣き崩れたものです。結果として、私たち夫婦のセックスライフは停滞し、診断から2年後に私たちは別居しました」

シャロンさんは約18ヶ月間、夫と別居生活を送りました。

「乳がんが夫婦関係やセックスライフに影響することがあるということを、誰も教えてくれませんでした。現在は再び夫とともに暮らしていますが、5年近く経っても(関係を取り戻すのは)簡単なことではありません。副作用も続いています。例えば、膣の乾燥が酷いので、セックスをすると痛みます。それに気付いた時は落ち込みましたし、夫に話すこともできませんでした」

シャロンさんは現在、Breast Cancer Careのボランティアとして、彼女と同様の問題を抱える女性をサポートしています。

「私が経験したことを他の人に経験して欲しくありません」と、彼女は言います。
「私は皆さんに、独りぼっちではないということを伝えたい。そして、助けを求めることができるということを知って欲しいです」

あなた自身の体に慣れること

治療後に自分の体を見たら、動揺することがあるかもしれません。しかし、何度も体を見て、感じているうちに、違和感はなくなってくるでしょう。あなた自身の体をもう一度よく観察して、心地よく感じることを見つけ出してみましょう。

副作用を緩和する

治療の副作用(膣の乾燥など)によって、気分が冷めてしまうことがあります。膣潤滑剤やモイスチャライザーを使用すると、痛みや乾燥状態が緩和されるので、安心感が得られるかもしれません。

コミュニケーションが重要

自分の気持ちをパートナーに打ち明けることで、お互いのニーズを理解することができます。少し怖いという方は、自分の気持ちを書き出してみてシェアすることから始めても良いでしょう。

ゆっくりと時間をかける

セックスを期待せずにパートナーとの時間を過ごしてみましょう。抱擁したり、手をさすったりすることでもパートナーとの親密感を得ることができます。

新しいことを試してみる

さまざまな体位でセックスをして、心地よく感じるものを探してみましょう。また、挿入することだけにとらわれず、自己刺激、相互マスターベーション、オーラルセックスなどを試してみると良いでしょう。



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