「乳製品を摂らない食生活にしたほう良いの?」

「乳製品を摂らない食生活にしたほう良いの?」

乳がんケアの専門家が乳がんとその治療に関する疑問に答えます。


PiNK 2018年 冬 p.20-p.21

Q: 乳製品を摂らない食生活など、食事療法が乳がん患者に良い、というのを読んだことがあります。私も始めた方がいいのでしょうか?

A: 乳がんと診断されると、健康でいるためにできるだけ多くのことをしたいと考えるのは珍しいことでも理解し難いことでもありません。

体を動かす、食べるものを変えるなど、今までのライフスタイルを変えることで自分が主導権を握っていると再び思えるようになる人が多いようです。

食生活と乳がんに関する情報の多くは相反するものも多く、何が一番いいか、いろいろな情報が錯綜しすぎていて、混乱したり、イライラしたりすることもあるでしょう。健康的な食生活を送ることは、活力や総合的な健康状態に違いをもたらすことがあります。

がんの再発リスクを軽減するために特定の食生活を送ったり、代替品を取り入れたりする人もいます。特定の食生活でがんの再発リスクが抑えられるという確証はありませんが、健康的な体重(太り過ぎでも痩せすぎでもない)であること、何らかの運動をし、健康的でバランスのとれた食生活を送ることでがんの再発リスクを軽減する可能性があることがわかっています。


代替品を利用する食生活は、特定の食品をより多く食べたり、避けたりすることを勧めるものです。そのため、必要な栄養素が不足することもあります。

乳がんと診断されてから、乳製品を摂らない食生活を送る人もいますが、これによって再発リスクが低減するという証拠はありません。乳製品を排除した食生活を送るかどうかは個人の選択ですが、体内のカルシウムの値が落ちる原因となる場合もあります。

カルシウムは骨の健康に重要です。骨の強さは年齢を重ねるにつれて自然に低下しますし、乳がんの治療で使われるホルモン療法も骨を弱くする場合があります。そのため、骨粗しょう症のリスクや骨折のリスクを低くするためにも食生活にカルシウムを取り入れることが重要です。

食生活を変えようと思っている人も、詳しく知りたい人も、専門チームや栄養士に話を聞いてみるといいかもしれません。



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